CBDは、カンナビジオールの略です。大麻草に含まれる天然由来の植物性カンナビノイド(化学物質)の一つです。
2012年の研究(1)では、大麻草には約400種類の化学物質が存在し、そのうち60種類がカンナビノイド化合物であることが報告されています。
このうち、代表的なカンナビノイドは、THC(テトラヒドロカンナビノール)とCBD(カンナビジオール)の2種類です。THCには精神作用がありますが、CBDは非精神作用で「ハイ」になることはありません。
CBDオイルとは何ですか?
CBDオイルの原料は主に大麻草由来の抽出物で、非常に親油性が高いことで知られています。これは、体が吸収し消化しやすくするために、「キャリア」の役割を果たしてくれる油を必要とすることを意味します。麻の実オイル、分画MCTオイル(ココナッツオイル)、ブラッククミンオイルなどのキャリアオイルは、CBDのバイオアベイラビリティを向上させるのに役立ちます。
CBDオイルはどのように使われるのですか?
大麻(Cannabis sativaの一種)の歴史は数千年前にさかのぼり、植物のあらゆる部分が日常生活の中で数え切れないほど使われてきました。
ある研究(2)では、いくつかの実験的、動物的、実験室的研究により、CBDの幅広い治療効果、抗炎症作用、免疫調節作用が実証されたと報告されています。
CBDはさまざまな形での提供が可能です:
- 経口摂取ができるオイルやチンキ、カプセルなど
- ベイプやEリキッドなど
- 食べ物や飲みものの原材料として
- エディブル(グミやキャンディ、クッキーなど)
- サプリメント
- 顔や体用のクリームや化粧品
- 浸透性の高いパッチ
- 鼻専用ドロップ
ブロードスペクトラムCBDとは?
カンナビジオール抽出物には3つのタイプがあります。1つのタイプはフルスペクトルCBDで、天然の大麻草に存在する化合物、カンナビノイド、テルペン、THCをすべて含んでおり、THCを含むため日本での売買は違法であり、不可能です。一方でブロードスペクトラムは天然の大麻草に存在するTHC以外の化合物、カンナビノイド、テルペン、を含んでおり、日本でも合法であり、安全に麻の成分を惜しまずに取り入れることができます。
CBDアイソレートとは?
アイソレートは3つ目のタイプであり、これはCBDのみを厳選して抽出した形になります。クリスタルやパウダーの形として提供されることが多く、その純度は99.9%以上のものを示します。
CBDディスティレートとは?
CBDディスティレート、すなわち蒸留液は、カンナビジオール(CBD)を精製した形で含む粘性のある液体です。テルペン、不純物、その他カンナビノイドを含まないため、匂い、味、風味はありません。
ヘンプオイルとCBDオイルの違いは何ですか?
ヘンプオイルまたはカンナビス・サティバ・シードオイルは、麻の実から作られたオイルです。オメガ3や6、必須アミノ酸が豊富んため健康上の利点がありますが、CBDとはまた異なります。
2010年の研究(3)では、ヘンプシードにはオメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸が多く含まれているため、特に循環器系の健康に大きな効果があることが示唆されています。
一方、CBDオイルは、ヘンプの花、葉、茎から抽出されます(日本向けの商品は茎のみ)。植物のこれらの部分には、CBDが多く含まれているのです。ヘンプオイルをCBDオイルと勘違いされる方も多く、紛らわしい表示も見られますので注意して内容物をご確認ください。
CBD使用の規制はありますか?
FDA(米国)では、CBDの使用を18歳以上の成人に限定しています。
また、FDAが初めて承認した医薬品であるエピディオレックス(CBD)内服液は、2歳以上のてんかんに伴う発作の治療に使用されています。
さらに、いくつかの国では、CBDを規制薬物から外すなど、CBDに対応した国家規制を変更しました。その結果、CBDはより入手しやすくなり、処方箋なしでオンラインで購入することができるようになりました。
しかし、併発症や特定の健康状態に悩む患者さんにとっては、CBDの使用を開始する前に医師に相談することが良い方法となります。
CBDは合法ですか?
国によってCBDの規制は異なります。日本ではTHCフリー(THCが全く含まれない)CBDの商品であれば販売、使用の規制なくお使いいただけます。 ヨーロッパでは国によって許可されているTHCの量が異なるため、注意が必要ですが、一般的にCBDの使用は普及しており、合法です。アメリカ合衆国でも州による規制が異なりますが、近年多くの州がCBD、またTHCの合法化を進めています。 香港は2023年にCBDの売買、及び使用は違法行為と指定されました。
日本で購入したCBDを海外には持ち出さないようにしてください。
CBDオイルの副作用はありますか?
一般的に、CBDは安全性が高く、公衆衛生に関わる副作用は報告されていません。
しかし、薬を服用している人は、副作用としてCBDと薬物相互作用を考慮する必要があります。
ケースバイケースですが、服用量や年齢、代謝、ライフスタイル、現在の健康状態によって、口の渇きや気分の変化、眠気を感じることがあります。
参考文献:
- Atakan Z. Cannabis, a complex plant: different compounds and different effects on individuals. Ther Adv Psychopharmacol. 2012;2(6):241-254. doi:10.1177/2045125312457586
- Larsen C, Shahinas J. Dosage, Efficacy and Safety of Cannabidiol Administration in Adults: A Systematic Review of Human Trials. J Clin Med Res. 2020;12(3):129-141. doi:10.14740/jocmr4090
- Rodriguez-Leyva D, Pierce GN. The cardiac and hemostatic effects of dietary hempseed. Nutr Metab (Lond). 2010;7:32. Published 2010 Apr 21. doi:10.1186/1743-7075-7-32